PERSON|株式会社イチーナ

営業部 市場裕也

営業としての仕事の他に、人事や経理など会社の経営に関わる部分も担当。仕事、会社への想いをインタビューしました。

手袋の会社として誇りを持ち、東かがわという産地全体も守りたい

PERSON|株式会社イチーナ

誠実さとレスポンスの速さを大事にお客様と向き合う

ーー営業として取引先のバイヤーの方などとやり取りされることが多いと思いますが、普段から心がけていることなどをお聞かせください。

市場:営業として大事なのは、誠実さ、そしてお客様へのレスポンスの速さだと思っています。真摯に取り組んでいたら、お客様に迷惑をおかけすることはありません。お客様が何をほしがっているのかを丁寧に汲み取り、そして、イチーナで応えられる要望にはできる限り応えるようにしています。

ーー3年前に入社する前は銀行で働かれていたと聞きました。

市場:はい、3年間香川の銀行にいました。銀行の中で、製造業を含むいろいろな会社と取引してきたので、製造業として東かがわのような産地はそれほど多くない、ということを改めて実感することができました。日本製のものを製造したり販売している会社は日本全体を見渡してもなかなかありません。その点で、東かがわは手袋の産地であり、歴史があり、全国のシェア率も9割以上なんですよね。高い技術があるからこそフィット感が抜群で、市場での評価も高いんです。

PERSON|株式会社イチーナ

マスク不足のコロナ禍に、保育園から届いた感謝の手紙

ーーこの3年間働かれてきて、印象に残るエピソードなどがあればお聞かせください。

市場:コロナ禍でマスクが不足した時に、ニットのマスクを作って売り出しました。ネットで売り出してもネットに載せた瞬間に売り切れてしまい、需要に対して製造が全然追いついていない状況だったのですが、そんな時に県内の保育園から「マスク、ありませんか」と問い合わせがありました。マスクを買いたいという要望は全国からいくらでもありましたし、もっと大口の注文もありました。でも、「保育園からの要望なら、なんとか送ってあげたい」と、従業員の意見が一致したんです。当時はただでさえ忙しかったのに、従業員は保育園にマスクを送るために遅くまで残って製造してくれました。人の良さがあふれ出ている従業員たちのその姿を見ながら「ああ、いい会社だな」としみじみ思ったのを覚えています。そして後日、保育園から感謝の手紙が届きました。卸売なので普段はエンドユーザーの顔や声はなかなか聞く機会がありませんから、こんなふうにお礼を言っていただけたことがすごく嬉しかったです

ーー最後に、これから東かがわという手袋の産地や、イチーナ社をどのように発展させていきたいと考えているか教えてください。

市場:今、ThinKniTという新たなブランドに社として力を入れていますが、私はそのブランドも「手袋の産地である」という実績があってこそのものだと思っています。私は、新規の分野にも取り組みつつも、元々の事業を疎かにしてはいけない、といつも思っています。この先、人口はどんどん減っていきます。2030年からは団塊世代の人口減少が問題になっています。自分の会社だけでなく、東かがわという産地をどう守っていくかを考えていきたいと思っています。イチーナとしても手袋の会社というプライドを持ち、今よりもさらに開発費をかけたり商品の打ち出し方を工夫したりとやるべきことを突き詰めてやっていきながら、手袋の会社として残り続けていきます。同時に、東かがわもこれからはどうしても人手が不足していきます。私は「未来へ、創造力を紡ぎ育む」というミッションを基に、人材の採用や育成に今まで以上に力を入れていきます。

Interviewer・Writer  平地紘子